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転職 8年連続で増 4割が中高年

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国内で雇用の流動化が徐々に進んでいる。2018年の転職者数は17年比5.8%増の329万人と8年連続で増えた。人手不足に悩む企業が中途採用を増やし、IT(情報技術)やサービス業に人材が移っている。中高年がより高収入を狙って転職する動きも出ている。ただ人の動きの活性化を生産性向上につなげるには課題もある。

総務省の労働力調査によると、18年の転職者数は08年(335万人)以来10年ぶりの高水準となった。08年はリーマン・ショックの影響でリストラを進める企業が多かったが、現在は企業がIT人材を補充するなど、資金面で好条件を提示し中途採用を増やしている。自動車や電機など製造業でも即戦力を確保する動きが広がっている。

転職が収入の増加につながる流れも定着してきた。リクルートキャリアによると、転職後に賃金が10%以上高くなった人は18年度に30.1%と年度ベースで初めて3割を超えた。転職者が仕事を変えた理由は「よりよい条件を探す」が全体の約3割を占める。(日本経済新聞 4月28日)

リクルートキャリアの調査では、転職動機の約3割が「よりよい条件を探す」だが、よりよい条件」を求めて社員に辞められた会社は、中途採用で「よりよい条件」を求めて応募してきた人を確保する。

「よりよい条件」の基準は人によって異なる。外資系コンサルティング会社に勤務する30代にとって年収1000万円は高給とはいえなくとも、日本企業の30代社員から見れば高給である。年収以外にも勤務時間や勤務地など条件にはいろいろな要素があり、当人のライフスタイルによって条件の評価は異なる。

だから、転職市場では「よりよい条件」を求める堂々巡りが成立する。隣りの芝生は青く見えるという心理が働いたうえに、人材紹介会社の担当コンサルタントの説明から願望を過剰に膨らませて、条件を見誤ってしまう人も多いが、見誤るからこそ雇用の流動性が進むのである。

今後増える傾向は、ライフスタイル重視の流れから、転勤族に組み込まれることを回避した転職だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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