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新卒一括採用見直し 産学協議会が提言 経団連会長「多様な経験望ましい」

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企業の採用のあり方などを議論する経団連と大学の産学協議会は22日、春の新卒一括採用に偏ったこれまでの雇用慣行を見直し、通年採用の拡大など採用方法の多様化を進める方針を盛り込んだ提言をまとめた。多様な人材を確保して、日本企業の国際競争力を高める狙いがある。IT企業などで多い通年採用の動きを後押しすることになりそうだ。
提言では、これまでの一括採用に加え、新卒、既卒を問わずに専門的な知識を重視して通年採用する「ジョブ型採用」を含め、「複線的で多様な採用形態に、秩序をもって移行すべき」だと強調。人材の多様性確保などに向け、外国人留学生や日本人海外留学経験者、大学院生を積極的に採用する方向性も打ち出した。
経団連の中西宏明会長は22日の協議会後、「企業側は留学など教室で学ぶ以外の(より多様な)経験を積んだ学生が望ましいとのメッセージを伝えていく必要がある」と述べた。一方、協議会の座長を務める山口宏樹・埼玉大学長は「(就職活動の)長期化や早期化(で学業がおろそかになる問題)が生じないよう、しっかり対応していきたい」と語った。(毎日新聞 4月22日)

経団連の中西宏明会長は終身雇用時代が終わったことを明言しているが、定年退職という出口が変われば、新卒の一括採用という入口も変わるのは必然だ。雇用の流動化が進むなかでは、通年採用のほうが柔軟に人材確保に取り組める。
通年採用が進めば、新卒・中途という区分けも徐々になくなっていくのではないか。
あるITベンチャー企業では、すでに新卒・中途の区分けをなくし、通年採用を実施している。この企業の社長は意図をこう語る。
「新卒と中途を分ける意味がありません。即戦力として採用するか、ポテンシャルに期待して採用するかの違いに、新卒と中途の区分けは必要ありません。新卒者も4月入社である必要はなく、在学中に入社してもよいですし、卒業して数カ月後に入社してもよいのです。4月採用でないと当社と学生がお互いに困るというのなら一括採用に戻しますが、お互いに困りませんし、むしろお互いに融通がきくので通年採用に切り替えたのです」
この企業の場合、要はスペックに合致する人材を確保できればよいのである。新卒か中途かはスペックに含んでいない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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