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外国人労働者 5年間で34万人「まだ足りない」

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外国人労働者の受け入れを広げる改正出入国管理法が1日施行され、資格試験や受け入れ準備が進んでいる。人手不足に悩む外食などの業界が歓迎する一方、自民党に対象業種拡充などを求める声も寄せられ始めた。政府が夏にまとめる成長戦略や、2020年度予算案の編成に向け、同党の動きが活発になりそうだ。新制度の課題を探る。

自民党は9日の観光立国調査会で、増えるインバウンド(訪日外国人)対策を議論した。「オーバーツーリズムと言うべきだ」。受け入れ側の収容力を高める存在として新制度での外国人受け入れ拡大の期待が高まる。

一方、14日にあった宿泊業の試験は約760人が事前に申し込んだが、受験したのが391人にとどまった。調査会メンバー、武井俊輔衆院議員は「本当に受験したい人が受けられなかったのではないか」と指摘する。

(中略)

14業種も人手不足の解消には程遠い。政府は5年間で最大約34万人の受け入れを見込むが、人手不足の見込み数は約145万人に上る。14業種で最も多い介護業界でも、円滑な運用やさらなる拡充を求める声が出ている。(日本経済新聞 4月17日)

モンゴルに出張した現地日刊紙の東京特派員によると現地の新聞や雑誌には「日本に行って稼ごう!」と煽り立てる広告が掲載されているという。「多くの広告に、技能を身につけてキャリアアップを図るというような趣旨の説明はない。日本に行けば稼げることが強調されていて、西部開拓時代のゴールドラッシュのような印象を受ける」。特定技能施行で日本の外国人労働市場が一気に開放されるという期待から、空前の日本ブームが到来しているのだ。

 これは日本側のニーズに合致する流れだが、モンゴルに限らず彼我の温度差は相当に違う。ベトナムが顕著な例だが、日本での就労は出稼ぎであり、送り出しは“出稼ぎ支援ビジネス”である。たとえ日越の架け橋などの大義名分を掲げていても、ビジネスゆえに参入するのだ。

この現実が健全か否かを日本側の価値基準で論じても空回りするだけである。相手国には相手国に固有の事情や価値基準がある。

こうした相手国側との温度差にさらされながら外国人を受け入れるのだから、ミスマッチは避けられない。ミスマッチによる混乱を覚悟のうえで臨むことになる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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