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「中途入社組がすぐ辞める」日本企業の深刻実情

以前の中途採用は補充や経験豊富な人材を採用する手段として30代を中心に行われる傾向がありましたが、新卒採用で十分な人材が確保できない状況が続き「新卒以上、経験職以下」のポテンシャル層と呼ばれる若手の中途採用が増加するようになりました。

このポテンシャル層の中途組の人材流失が、後述しますが、激しさを増しているようです。「中途採用した人材の大半が退職してしまう状態で困っている」と相談をいただくケースが増えています。そこで、中途採用した若手人材のリテンションをテーマに、現状と対策を考えてみたいと思います。

エン・ジャパン株式会社が運営する「人事のミカタ」上でサイトを利用している企業のうち、直近3年間で中途入社者(正社員)がいる企業を対象に「中途入社者の定着」についてアンケート調査をしたところ、37%が「定着率が低い」(定着率が低い:30%、定着率がとても低い:7%)と回答。

また、リクルートワークス研究所の調査では、過去3年と比較して入社半年以内に離職した社員数が増えたと回答した会社は21%。さらに前職との仕事の違いや社内用語や慣習に対する戸惑いなど、中途組の退職につながりかねない悩みを数多く抱えていることが明らかになっています。
(東洋経済オンライン 4月15日)

中途入社組は(合わなければ退職もやむをえない)とは考えていない。外資系企業への中途入社を除けば、定年まで働こうと考えているかどうかはともかく、長期間働くつもりで入社するのが通例である。

では、なぜすぐに辞めてしまうのか。おもな原因は本人よりも企業側にあるようだ。採用時に、価値体系や仕事の進め方など中途入社組が戸惑いがちな要素をていねいに説明しないからだ。

とくに価値体系は社員には浸透していても、社外の目には宗教のように映ることも珍しくない。新卒者なら抵抗なく受け入れても、一定の社会経験をもつと違和感を禁じ得ない例は数多い。それが解消しないとストレスが高じて、周囲との溝が埋まらず、退職に至ってしまうのである。

業務のミスマッチよりも体質のミスマッチを回避するには、入口で対処する以外にない。採用担当者が自社の価値体系を世間の目で俯瞰する必要があるが、会社にどっぷりと浸かっている人には難しい注文だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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