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「最近の新人はすぐ辞める」、実は毎年恒例

ono20190415

4月に入り、新社会人が働き始めましたが、中には早くも離職や転職について考えてしまう人もいるようです。あるネットメディアの調査では、新社会人の約25%が「具体的な退職時期を想定している」と回答しています。最近の新人はすぐに辞めてしまうとも言われていますが、実態はどうなのでしょうか。
毎年、この時期になると「今年の新人は」といった形で、すぐ辞めてしまう、忍耐力がない、プライベートばかり重視といった話のオンパレードとなります。しかしながら、現実には新入社員の行動パターンというのは過去30年にわたってほとんど変化していません。
厚生労働省が行っている新規学卒者の離職状況調査によると、新入社員の3年以内の離職率は過去30年にわたってほぼ30%台となっており大きな変化はありません。2004年に37%近くまで上昇したことがありましたが、近年はむしろ低下する傾向すら見られます。
(中略)
いつの時代においても新入社員の3割が3年以内に会社を辞め、その後も会社に残った社員はほぼ確実に会社人間となり、やがては「最近の若者は・・」といって新入社員を批判。するという流れがずっと続いているのです。(THE PAGE 4月8日)

新入社員の約25%が3年以内に退職するというデータは、ワークライフバランス重視の時勢にひとり歩きして、いかにも昨今の現象であるかのように理解されている。このデータが発表され出した時期はいつからかはともかく、昔は話題にのぼらなかったので、推移の状況はわからない。

ただ、かつてはいま以上に、すぐに辞める人は堪え性が乏しく、やがて職を転々としかねないとマイナス評価が下されていた。しかも、外資系企業を除けば、多くの場合、転職先は前職よりもランクの低い会社で、転職は“ステップダウン”を覚悟した選択だった。

だが、いまでは新卒入社前に早くも転職先を想定して、入社した会社を踏み台と考えるケースが増えているという。3年以内の離職率推移にさほどの変化がなくとも、転職の実態に変化が起きている。

採用側が幹部候補に期待するような有望な人材は、すでに転職先を考えて、会社のリソースをフルに活用してノウハウや人脈の蓄積に励んでいるかもしれない。そんな社員は成果を出すし、退職後も提携先としてプラスになりうる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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