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労働法違反、求人拒否も 厚労省「原則受理」を転換

ono20190412

厚生労働省は2020年3月から、職業紹介事業者が労働法令に違反した企業の求人を拒否できるようにする。事業者が原則受理しなければならない現行制度を改める。悪質な企業による採用を防ぎ、就職後のトラブルを未然に防止することをめざす。
違法な長時間労働や賃金の未払い、給料が最低賃金以下といった労働基準法や最低賃金法に抵触した場合が対象になる。具体的には過去1年間に2回以上違反して是正勧告を受けたり送検されて企業名が公表されたりすると、職業紹介事業者側が拒否できる。
原則として是正の勧告から6カ月経過するまで求人を受理しなくてもよいようにする。送検された場合は送検後1年間を不受理期間とする。職業紹介会社のほかハローワークも対象だ。(日本経済新聞 4月5日)

10年近く前だが、都内のハローワークを取材したときに求人受付担当者に「札付きのブラック企業の求人を紹介したら、ハローワークが犠牲者を生み出すことになるのではないでしょうか?」と尋ねたら、「ハローワークもブラック企業を把握していますが、公的な機関なので受付を拒否できないのです」と困った様子だった。

ブラック企業が体質を変えるには法人の性根を改めなければならないが、性根まで改めるためには、経営幹部の総入れ替えが必須である。だが、それは難しい。まずは入口を封じ込めること。つまり採用の機会を狭めて、犠牲者予備軍を発生させないことである。

たが、厚生労働省の措置は、是正勧告から6カ月経過するまで求人を受理しなくてもよいという内容にすぎない。是正勧告を受ける企業は“勧告慣れ”しているから、イタチごっこが繰り返される事態も想定できる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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