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残業の上限規制スタート 高齢者採用増など働き方改革本格化

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昨年成立した働き方改革関連法のうち、時間外労働(残業)の上限規制や、年次有給休暇(年休)の年5日取得義務化などを盛り込んだ改正法が1日、施行された。民間企業でも非正社員の待遇改善や、経験豊かな高齢者の採用を増やす動きが加速しており、働き方改革の本格化で日本の「職場」の雰囲気は大きく変わりそうだ。
働き方改革の改正法では、青天井だった残業に初めて罰則付きの上限を設けた。原則月45時間、年360時間までとし、繁忙期など特別な事情がある場合も月100時間未満(休日労働を含む)、2~6カ月の平均で80時間以内(同)、年720時間に制限する。違反企業や労務担当者には6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科す。4月スタートの対象は大手企業のみ。中小は1年後の2020年4月からとなる。
年収1075万円以上の経営コンサルタントや金融商品アナリストなど高収入の一部専門職を対象に、労働時間規制や残業代支払いの対象外とする「高度プロフェッショナル制度」も創設する。多様で柔軟な働き方を確保するのが狙いだが、「長時間労働を助長する」との懸念も出ている。
(SankeiBiz 4月2日)

そもそも長年にわたって残業という就労形態が常態化してきたことに問題がある。残業は例外的な就労形態として扱われるべきなのに、会社は残業しなければ消化できない量の業務を与えてきた。一方で社員は、残業手当を生活給として計算する生活設計を常態化させてきた。
いわば労使一体となって残業文化を形成してきたのだ。

残業時間の制限は会社にとっては残業手当の削減、社員にとっては疾病リスクの削減というメリットが生ずるが、いきなり業務量を削減できるわけではない。効率化にも限界があり、現場は混乱する。

さらに社員は手取りが減ってしまうという厄介な問題に直面する。生活費の見直しを迫られる例も多いだろうが、それは生活費の正常化への修正なのである。残業手当が減る分、基本給や他の手当の増額を望むのは筋が違う。
残業の上限規制は労使双方に正常化を迫っている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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