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パワハラ防止 企業に義務 法案閣議決定

政府は8日、職場でのパワーハラスメント(パワハラ)の防止義務を盛り込んだ労働施策総合推進法などの改正案を閣議決定した。企業に対して相談窓口の設置やパワハラをした人の処分の規定などを求める。働きやすい職場環境の整備に向けて前進する。今国会での成立をめざす。
セクシュアルハラスメントやマタニティーハラスメントは防止措置がすでに企業に課されているが、パワハラの対策は自主努力に委ねられている。ただ近年は社会的な関心が高まり、規制の必要性を求める声が強まっていた。
具体的に企業が講じる措置は成立後に策定する指針で示す。相談窓口やパワハラをした社員の処分内容を就業規則に設けるほか、相談した人らのプライバシーの保護などが盛り込まれる見込みだ。大企業で公布日から1年以内、中小は3年以内に義務化される。
改正案ではパワハラを「優越的な関係を背景とした言動で、業務上相当な範囲を超えているもの」などと定義。具体的な該当事例は指針で明確にするが、上司から部下への暴言などはパワハラと認定される可能性が高い。
(日本経済新聞 3月8日)

全国の労働局に寄せられたパワハラなど「いじめ・嫌がらせ」の相談が7万2000件を超えたという。感染症のように増えている。
厚生労働省が策定する指針では、パワハラは6つの類型に分類される。①身体的な攻撃②精神的な攻撃(他の社員の前で暴言)③人間関係からの切り離し④過大な要求⑤過少な要求⑥個の侵害(交際相手の追求や家族の悪口)―の6つである。

このうち過大な要求と過少な要求は、あからさまなケースを除けば判別が難しいのではないのか。予防線を張って理論武装を試みる企業も増えるのではないか。

セクハラと同様にパワハラも、撲滅するには厳罰化以外にない。水面下で穏便に処理しようとする文化が続いたままでは撲滅には至らない。社内相談窓口には取締役会から独立した権限を与え、担当社員の人選も、社内政治に走らないような杓子定規な人物がよいだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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