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公務員に“解禁”じわり広がる 農家手伝い、神楽舞い手…人手補う

地方の人口減に歯止めがかからない。高齢化、人手不足が急速に進む中で行政も市民も、もがきながら地域の持続可能なあり方を探っている。今春行われる平成最後の統一地方選を前に、地域が直面する課題や新たな動きを追う。
地域の人手不足を補おうと職員の副業を“解禁”する自治体がじわりと広がっている。サイドビジネスとは異なるその試みとは-。
その日も宮崎県新富町長の小嶋崇嗣(47)は役場を歩き回り職員に声を掛けていた。
「副業、しない?」
町が職員の就業内規で「副業」を認めるように見直したのは4カ月前。人口減、少子高齢化で地域活動が細る中、職員自ら地域に飛び出し、住民と協働で課題解決に取り組もうという全国でも珍しい取り組みだ。
(1)勤務時間外(2)地域に貢献する活動-を条件に副収入を認める。想定しているのは農家の手伝い、高齢者の買い物や地域行事の支援などだが、コンビニのアルバイトもありだ。「今や地域になくては困る存在だから」と小嶋は言う。
(西日本新聞 2月25日)

宮崎県新富町役場では3人の職員が「神楽の舞い手」を届け出たほか、少年スポーツや中学校の部活コーチを届け出た職員もいるという。報酬が発生する以上、副業には違いないが、仕事は公務に近い。
新富町の副業解禁は、同町が意識しているかどうかはともかく、厚生労働省が提案している「地域共生社会」の創出にも連動している。厚労省は地域社会のあり方に次の問題意識を表明している。

<対象者別・機能別に整備された公的支援についても、昨今、様々な分野の課題が絡み合って複雑化したり、個人や世帯単位で複数分野の課題を抱え、複合的な支援を必要とするといった状況がみられ、対応が困難なケースが浮き彫りとなっています>

そのうえで「地域共生社会」を定義している。
<このような社会構造の変化や人々の暮らしの変化を踏まえ、制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会>

この考え方は厚労省が提案するまでもなく、1970年代から議論されてきたテーマだ。地方公務員に報酬を払って活動の幅を広げてもらうことは有効である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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