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コカ・コーラが700人希望退職 経営効率化

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コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス(HD)は14日、約700人の希望退職を募集すると発表した。資材や物流費が高騰しており、人件費を圧縮して経営の効率化を目指す。希望退職の募集は2017年のコカ・コーラボトラーズジャパンHDの発足以来、初めて。
グループ会社に在籍し勤続1年以上で45歳以上の社員が対象で、退職加算金を上乗せする。募集期間は3月11日から28日で、退職日は4月30日を予定。希望退職に伴う費用として約50億円を想定、19年12月期決算に計上予定だ。
統合前のコカ・コーライーストジャパンとコカ・コーラウエストは13~14年に実施した。
(共同通信 2月14日)

本来、人員削減は経営強化の最終手段であるべきだが、そうしたくとも銀行から「リストラをしないのは甘すぎる」と迫られることが多い。コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスではどんな判断のプロセスがあったのかは分からないが、社員が物財のようにバッサバッサと斬られることは珍しくなくなった。
その功罪はともかく、中小企業の社長には、ビジネスライクにリストラを挙行できないタイプもいる。昨年末の忘年会で同席した出版社の社長は、4年前に整理解雇を実施して3人の編集者に退職してもらった。3人の内訳は、20代が1人、30代が2人。この会社には40~50代の社員も在籍している。
社長は「確かに人件費の高い年配の社員から辞めてもらうのが、一般的なやり方だけどね」と前置きして、胸中を打ち明けてくれた。
「40歳を過ぎた社員は、高校生の子供が2人いるとか、子供が予備校に通っているとか、生活を背負っているからね。自分にも子供が2人いたから分かるけど、家族の状況を知ったらドライなことはできないよ。独身の若い社員になら『うちより良い会社はたくさんあるから、転職して頑張ってほしい』と言えるけど、40歳過ぎの編集者は転職先も少ないから、できるだけ守ってあげるしかないだろう?」
小規模な企業ほど人間関係が密になるので、資本の論理で割り切れず、人情が勝ってしまうのだが、中小企業の土俵で堅実に経営していくうえでは、社長と社員、同時に社員同士の信頼関係が殊のほか大きなウエイトを占める。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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