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公表基準を明確化=裁量労働の違反企業―厚労省発表

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厚生労働省は25日、勤務時間を労働者に委ねる裁量労働制に関し、違法適用した企業名を公表する基準を発表した。
従来は明確な基準がなく、「運用が恣意(しい)的だ」などとする批判が出ていた。裁量労働制は金融機関のアナリストなどの専門職や、経営企画などの業務を行う社員が対象。新基準は三つの条件があり、複数の事業所を持つ社会的に影響力の大きな企業に適用される。
具体的には、裁量労働制で働く労働者の3分の2以上が対象に該当しない業務をしている。このうち半分以上で労働時間に関する違反がある。さらに、そのうち1人でも月100時間以上の時間外・休日労働があった場合に、企業名が公表される。
(時事通信 1月25日)

社名公表はいわばブラック認定だが、ブラック企業には、過酷な就労環境を「うちは他社よりも厳しい」と自画自賛する特性がある。“厳しさ自慢”である。だから経営幹部陣はブラック認定を勲章のように受け止めているのではないか。
そんな企業を改心させるためには、罰則内容を重くして、相応の危機感を抱かせる以外にない。社名を公表したところで、どれだけの抑止効果を期待できるだろうか。
業績に響かない限り、たとえば札付きの法令違反企業が、本腰で労務管理の健全化に向かうとは思えない。SNSで拡散されても意に介さず、あるいは「労働基準法が企業活動の足を引っ張っている」とうそぶいて、違法行為を繰り返すのではないか。
業績に響く罰則を科すには、厚生労働省と対象企業の所管省庁との連携が必要だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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