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医師の残業100時間超 厚労省が容認を検討

厚生労働省は2024年4月から適用する医師の残業時間の上限規制について、医師不足の地域の病院などでは月100時間超を容認する方向で検討している。月平均160時間(年1920時間)まで認める案も浮上。地域医療の体制を維持するためとするが、極度の長時間労働を認めることになり、今後の議論が難航するのは必至だ。
働き方改革法で一般労働者には休日労働を除き年720時間の残業上限の適用が決まった。ただ医師は診療を原則拒めない「応召義務」などがあり、働き方も特殊だ。厚労省は医療関係などの検討会で医師の制度の検討を進めてきた。
厚労省はまず一般の医師に適用する上限を設ける。休日労働込みで年960時間とする案がある。そのうえで地域医療の確保に欠かせない病院の医師や、研修医など技能向上が必要な医師向けにさらに緩い上限をそれぞれ検討する。
(日本経済新聞 12月14日)

医師の働き方改革を議論する厚生労働省の医師の働き方改革に関する検討会では、医療側と労働側で見解の相違があるという。日本医師会常任理事の松本吉郎氏は11月17日、
日本医療法人協会・同埼玉支部がさいたま市で開いた「第33回全国医療法人経営セミナー」で報告した。
検討会には労働関係者として連合、全日本自治団体労働組合、保健医療福祉労働組合から各1人ずつ代表委員が加わっているが、松本氏はこの3人について医療側との差異を強調した。
「我々とは根本的に考え方が違う。残業機関の上限規制の議論では必ず過労死ラインが問題になるはずだが、過労死ラインを超える上限時間に労働側委員は強く反対してくるだろう。医師の上限時間が他の職種に波及することを非常に怖れている。医師に限定した上限規制であっても、それを認めることには非常に抵抗を持っている。ただ、労働側委員も現場が廻っていかないことは理解しているので、どんな条件ならば医師に限定した上限規制を認めてくるかにつながっていくと思う」
 この記事にある残業100時間超に労働側はどんな見解をもっているのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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