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改正入管法 「介護分野で最大6万人」 政府の期待に冷ややかな見方

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8日成立した改正入管法で新設される在留資格「特定技能」によって、「介護分野に5年間で最大6万人」とする政府の受け入れ見込み数に対し、事業者から冷ややかな見方が出ている。既存の在留資格で受け入れた外国人介護職は10年で5000人にも満たない。背景には言葉の壁に加え、国際的な人材獲得競争の激化もある。
5年後には約30万人もの人手不足が見込まれる介護業界。政府は特定技能による受け入れ見込み数を「5万~6万人」としている。施設側の需要に基づいてはじき出した数字だが、「実際に集められるかどうかまでは考えていない」(厚生労働省幹部)。
介護職場で働く目的で日本国内に滞在するには、2国間の経済連携協定(EPA)、技能実習制度、在留資格「介護」の三つがある。EPAが介護分野への門戸を開いた2008年以降、今年度までに受け入れたのはわずか4302人。17年に始まった介護分野の技能実習は247人、在留資格「介護」は177人にとどまる。
人手不足が深刻であるにもかかわらず、外国人介護職の受け入れが進まない理由について、ある大手介護会社の担当者は日本語の壁を挙げる。介護では利用者や他の職員との円滑な意思疎通が求められるため、一定の日本語能力が要件として課されている。この担当者は「日本語の習得は難しい。重労働の割に待遇のよくない介護職に就くためにわざわざ勉強するモチベーションがわきにくい」と話す。
(毎日新聞 12月9日)

外国人人材の確保の手段として介護事業者が試行しはじめたのが、海外学生のインターンシップである。本人と職場との相性の確認が目的で、自治体も動き出している。
横浜市は「第7期横浜市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」に基づき、ベトナムの3都市・5大学との間で留学生とインターンシップ生の受け入れで覚書を締結した。相手先の都市はホーチミン市、フエ省、ダナン市。大学は、バククォアナムサイゴン短期大学、レティリエン職業訓練校(以上ホーチミン市)、フエ医科短期大学、フエ医科薬科大学(以上フエ市)、ドンア大学(ダナン市)。
各大学の学生に対して家賃補助や日本語教育などの支援を講じたうえで、横浜市内の介護施設に紹介する。
インターンシップ期間は9カ月。ドンア大学看護学部の学生のなかからN4合格者を3名選抜し、市内の特別養護老人ホームと老人保健施設に紹介するという。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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