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特養職員の退職相次ぐ 福岡・行橋市が改善勧告

福岡県行橋市の社会福祉法人「友愛会」が運営する特別養護老人ホームなど2施設で、職員の退職が相次ぎ、市は職員の確保などを求める改善勧告を出した。市によると友愛会は破産する可能性もあり、市は計28人の入所者を他の施設へ移すことも検討している。
市によると、2施設は特別養護老人ホーム今川河童苑(かっぱえん)と、特定施設いまがわ秋桜(こすもす)ガーデン。2階建て施設の1階が特養、2階が特定施設で定員はともに29人。
2015年の開設当初から定員割れが続き、負債がかさんでいた。職員への給料が滞るなどして、パートを含む職員26人のうち8人が11月末に退職した。
職員の配置基準を満たさなくなるおそれがあり、市は11月、職員の確保を勧告したが回答がなく、特別監査に入った。書類の不備などについても改善するよう再度勧告しており、今月17日までに改善されない場合は改善命令を出す。
この命令に従わない場合、市は事業者指定を取り消し、入所者を他施設に移す方針。施設の状況を調べ、入所者に危険があると判断した場合は移送を早めるという。
(朝日新聞デジタル12月4日)

受水槽が設置されているとはいえ、給水を止められたほどの介護施設が再建するならスポンサーを見つける以外にないが、容易に見つかるとは思えない。すでに行橋市は入居者の転居先を探しはじめ、すでに3人が転居したという。
友愛会のホームページを開くと「施設理念」に「私たちは『その人らしさ』を尊重します」「私たちは『我が家』と感じていただけるような施設づくりを目指します」「私たちは1人ひとりが大切にしてきた『暮らし』の継続をサポートします」「私たちは入居者様に共感し、笑顔とご家族の安心をお届けします」と書かれてある。
「住み慣れた地域で最期までその人らしく」という地域包括ケアシステムのコンセプトを踏襲した施設理念だ。多くの社会福祉法人と類似した内容だが、欠落している要素がある。職員に対する考え方が書かれていない。
開設当初に定員割れが発生するのは通例だが、好転しなかったのは職員の意欲を引き出せなかったことに起因するのではないか。施設理念からは、そうも推察できる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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