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介護職に外国人 官民が環境整備

介護業界での外国人受け入れ拡大に向け、首都圏の自治体や民間団体が環境整備に動いている。東京都や千葉県は日本での学費や家賃を一部負担する財政支援制度の導入を計画。介護福祉士を育てる教育機関の団体は留学生向けの相談窓口を設けた。外国人が安心して学んだり、働いたりできる環境をつくり、人手不足が深刻化する日本の介護施設への定着を促す。
東京都は介護施設に勤めながら介護福祉士の養成校に通う外国人留学生に対し、奨学金などを支給する事業を2019年度に始める。資格を取ると介護職としての在留資格が認められ、日本で長く就業できる。支給額は居住費や国試の受験対策費を含め、年間約140万円の見込だ。
千葉県の森田健作知事も介護職を目指す外国人について「(日本での)日本語の学習や家賃をできるだけ支援したい」と前向きな姿勢を示す。
(日本経済新聞 11月28日)

来年から介護業界で外国人技能実習生の受け入れが本格的にスタートする。3~5年、実習という名目で働くのだが、慎重な介護事業者は互いの相性を気にかけている。相性が合わない状態で3~5年働けば、互いに年月を無駄にしかねないと懸念しているのだ。
この懸念から外国人インターンシップ生の受け入れが、一部の介護事業者で実施されはじめた。期間は3~6カ月が中心で、インターンシップ生はこの間に介護施設との相性などを確認し、事業者は本人の適性を確認する。インターンシップ終了後、学生は帰国して日本語学習を重ね、技能実習生などで再来日するというプランが立てられている。
いわばインターンシップは技能実習のシミュレーションの役割を担っている。事業者と学生の双方に有効な制度だが、人手不足対策の隠れ蓑に制度を誤用しようとする事業者も一部にいるらしい。だが、入国管理局も事業者の真意を見抜き、誤用の疑念から学生が入管を通れず、空港から即座に帰国させられた例もあるという。
介護インターンシップ事業が普及すれば、タテマエとホンネがかい離して、歪んだ制度運用に陥ってしまう可能性も想定される。入管に厳格な審査をお願いしたい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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