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日立社員、残業145時間で労災認定 上司「人事部に怒られる」と時間削減を指示

 日立製作所の子会社に出向していた男性(20代)が、長時間労働とパワハラが原因で精神疾患になったとして、高岡労働基準監督署(富山県高岡市)が今年1月16日付で労災認定をしていたことがわかった。男性と男性が加入する労働組合「労災ユニオン」が11月6日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで記者会見し明らかにした。
 男性と組合によると、時間外労働は恒常的に月100時間ほどに及んでいた。しかし、残業時間を正確に申告したところ、上司から「お前が(正しい勤務時間を)つけると人事部に俺らが怒られる」「新人だけ多くつけて、我々がつけていないと、新人に全部仕事を押し付けているみたいじゃないか」などと削減を求められたという。
 男性は2013年4月、日立製作所へ入社。15年6月から日立プラントサービス(空調設備の設計販売などを行う子会社)へ出向となり、富山県の工事現場で設計と施工管理監督の業務を担当していた。一番年下だった男性は弁当準備や備品発注などの雑用も任され、7時半に出社し23~24時まで働くことが多くあったという。(弁護士ドットコム 11月6日)

 長時間労働を是正する健康経営は、業績の向上に直結しているという。さる10月25日、都内で開かれたシンポジウムで、経産産業省商務・サービス政局統括調整官と厚生労働省医政局統括調整官を兼務する江崎定禎英氏は、2つの省の関係から健康経営に話を進めた。
「私が経済産業省と厚生労働省のポストを兼務しているのは奇跡のような話で、この2つの省は相反するような歴史を歩んでいました。経産省は戦後復興から資源のない日本で国民が食べて行けるように、売れるものは売ってくれ、稼げるものは稼いでくれ、と後押ししてきた役所です。
厚労省は、金のために身体を壊してどうするのか、という立場の役所です。だから健康を考えると経営は上手くいかず、経営を考えると健康は上手くいきませんでしたが、仕方がありませんでした」
 さらに、こうつづけた
「仕事のために身体を壊して医療費を使っている状況をどう改善するかがポイントで、経営者自身に「従業員の健康を考えないと経営は立ち行きませんよ」と。健康経営を実践している企業はホワイト企業として良い人材を採用できるようになり、健康経営を実践していない企業に比べて明らかに業績に差が出ています」
 長時間労働が社員の健康を悪化させ、業績にも響くことを認識し、就労環境を改善しないと社員はどんどん逃げてゆく。それでも長時間労働の呪縛から脱せない企業が後を絶たない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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