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<福岡労働局>無期転換直前の雇い止め無効も 河合塾に指摘

 大手予備校「河合塾」の福岡校(福岡市)などで29年間講師として働き、有期契約の非正規労働者が無期契約に変わることができる「無期転換ルール」の適用直前になって雇い止めになった男性について、福岡労働局が9月、「雇い止めが無効の可能性がある」と河合塾に文書で指摘していたことが、関係者への取材で判明した。
無期転換ルールを巡っては、労働者が無期転換の権利を得る直前に雇い止めになるケースが相次ぐ。一方、ルールを定めた改正労働契約法は「労働者が契約更新されると期待する合理的な理由」などがある場合、雇い止めは無効と規定している。福岡労働局は、男性が毎年、特に説明がなく契約更新されてきたことが「合理的な理由」になる可能性があると判断。強制力はないものの、一方的な雇い止めに警鐘を鳴らす形となった。
雇い止めとなったのは、佐賀県鳥栖市の松永義郎さん(68)。1989年から講師として河合塾で働き、近年は1年契約を6回更新して福岡校や北九州校で教えてきたが、無期転換の申し込み権を得る直前の3月末で更新されなかった。
(毎日新聞 10月24日)

非常勤講師の雇用トラブルでは、日本大学を雇い止めされた非常勤講師たちが「日大ユニオン」を結成して、組合員8名が雇い止めや授業コマ数削減を不服として、東京地方裁判所に日大を提訴した。
訴訟原告団団長の真砂久晃氏は今年3月に雇い止めとなった。9月20日に開かれた第1回口頭弁論で雇い止めの経緯について説明し、平成26年11月25日付の書類に「平成32年3月までは、継続してご担当いただきますよう、お願いいたします」と明記されていたことを打ち明けた。
さらに雇い止めを通告してきた事務長と学務長について「謝罪の言葉はひと言もありませんでした。まるで、非常勤講師は使い捨てするのが当然であるかの物言いに、私たちは大いにプライドを傷つけられました」と述べた。第2回口頭弁論は12月13日に開かれる予定である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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