Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

パワハラ増加、国が相談体制強化 夜間休日も対応

20181025

厚生労働省は職場でのハラスメント対策を強化するため、2019年度から都道府県労働局の相談員を増やすほか、夜間や休日も対応する新たな相談窓口を設ける。ハラスメントの相談件数は増加傾向だが、パワーハラスメントについては明確に規制する法令がなく、指導との線引きも曖昧なのが実態だ。まずは相談体制を拡充して被害の防止に取り組む。
(中略)
増える相談に対応するため、同省は19年度から各地の都道府県労働局に常駐する計69人の相談員を8人増員する方針だ。
また相談窓口の受付が平日の日中に限られていることから、夜間や休日も対応する新たな窓口を設ける。電話やメールで職場のトラブルや悩みなどに応じる仕組みで、業務は民間に託する予定。
同省はこうした相談体制の拡充などで19年度予算の概算要求に10億円を計上した。
(日本経済新聞 10月17日)

この記事の補足記事によると、この9月に発足した労働政策審議会の分科会で、労働者側の委員が「パワハラの防止策を企業側にしっかり義務付けるべきだ」と主張したところ、経営者側は、上司が指導をしにくくなり、人材育成などに影響が出ることを懸念したという。
経営者側の委員は、たぶんパワハラ育ちのオジサン世代である。状況によっては叱責しなければならないという主張が否定されかねない。そんな怖れを抱いているのだろうが、根底にあるのは、人権問題よりも収益追求を優先させるという判断基準だ。
パワハラは研修やガイドサイン策定では防げないことは、経営者側も理解しているはずである。ただ、オジサン世代は怒鳴れなくなることに抵抗がある。場面によっては大声で叱責することも必要だという“正論”も、ホンネは感情の抑制を強いられることが嫌なのだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。