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人手不足倒産が過去最多ペース 月内にも前年水準超え

深刻な人手不足を背景にした国内の企業倒産が件数・負債総額ともに過去最多ペースで増加していることが14日、分かった。今年1~9月の合計は299件に上り、10月中にも平成29年の年間水準(317件)を上回りそうだ。従業員が確保できず事業継続が困難になったり、社員を引き留めるため賃金を無理に引き上げたことで収支が悪化したりしたケースが目立つ。
東京商工リサーチによると1~9月の人手不足倒産は負債総額で417億円。この勢いで増えれば件数は400件前後、負債総額も550億円前後まで伸びそうだ。人手不足問題の表面化を受け集計を始めた25年以降、ピークは件数が340件(27年)、負債総額が541億円(25年)で、更新が視野に入った。
倒産理由でみると、従業員が集まらない求人難型が前年同期比48.1%増の40件と大きく増え、29年の年間水準(35件)を既に上回った。太陽光発電システム設計・設置の「JINテクニカル」(東京都、負債額2億3000万円)は工事需要が増加したにもかかわらず人手不足で対応できなくなり、事業継続を断念した。
(産経新聞 10月14日)

こうした統計を見ると、外国人労働者を大量に受け入れないと立ち行かなくなるという見解に拍車がかかってくる。だが、外国人技能実習制度は相変わらず健全に運用されていない。
法務省は10月5日に、実習の対象外である除染等業務に技能実習生を従事させていた4社に対する処分を公表した。実名は公表していないが、以下の処分を下した。
A社に受入停止5年間(技能実習計画齟齬及び賃金等の不払)、同社の監理団体Bに改善指導(監査体制不十分)。受入企業C社に受入停止3年間)(技能実習計画齟齬。)同社の監理団体D及びEに改善指導(監査体制不十分)。受入企業F社に注意喚起(除染等業務を行わせないよう注意喚起)。受入企業G社に注意喚起(除染等業務を行わせないよう注意喚起)。
A社とC社は目算が狂ってしまっただろうが、違反行為が横行すれば、その実態は海外にも知れわたる。国際的な人材争奪戦が繰り広げられる渦中で、日本は選ばれない国になってしまう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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