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若者誘致へ「有給休暇3カ月」 離島の企業、破格の制度

201810191

山形県唯一の離島、酒田市の飛島を拠点に事業を展開する合同会社「とびしま」が、今年から「有給休暇3カ月」制度を始めた。取得時期は観光と漁業が閑散期となる10~3月に限られるが、法定の割合から考えれば、破格の扱い。狙いは島への「若者誘致」だ。
(中略)
昭和40年代から営業してきた沢口旅館は、高齢化と人手不足、後継者難を理由に前館主の沢口與四一さんと正子さん夫妻が土地と建物を「とびしま」に譲渡。今年4月から、看板はそのままに「代替わり」した。
志田さんは、先輩社員でもある島出身でUターン組の新女将、渡部陽子さん(33)と2人で、沢口夫妻から「島の旅館」のイロハを教わりながら半年を過ごした。宿泊客がたどり着くかどうかなど、船の運航に全てが左右される日々。「人生で初めて天気予報を真剣に見るようになりました」と笑う。来年1月からの3カ月有給休暇で、何をするかまだ考えていないという。
(朝日新聞デジタル 10月11日)

地方創生の突破口は来訪者と定住者を増やすことで、多くの自治体が観光と雇用をテーマに掲げている。この記事にある有給休暇3カ月制度は、継続すれば就労条件のモデルになる。欧米ではニュースになるほどの取り組みではないのだろうが、いまの日本で、3カ月も有給休暇を付与できる企業がどれだけあるのか。
かりに3カ月の有給休暇制を運用できても、多くの社員は3カ月もの休暇に耐えられまい。たぶんヒマ疲れして、1日も早く仕事に復帰したいと渇望する人が多いはずだ。あるいは3カ月を副業で過ごして、無為の期間を縮減するだろう。
政府の誘導策は、長時間労働を是正する一方で、生涯現役で働かせることだ。生涯の総労働時間は拡大に向かっている。「引退する時は死ぬ時」というタイトルでシンポジウムを開いた自治体もあるという。
この時勢に息が詰まるかどうかは本人次第だが、共感する人が多そうだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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