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外国人労働者、永住も可能に…熟練技能を条件

20181019

外国人労働者の受け入れ拡大に向け、政府が来年4月の導入を目指す新制度の全容が10日、判明した。新たな在留資格「特定技能」(仮称)を2種類設け、熟練した技能を持つと認定された外国人労働者には日本での永住を事実上、認めることが柱だ。今月召集の臨時国会に出入国管理法と法務省設置法の改正案を提出する。
政府は少子高齢化に伴う深刻な人手不足に対応するため、外国人労働者の受け入れ拡大を検討している。12日にも開く関係閣僚会議で、関連法案の骨子を提示する。
骨子では、特定の分野について「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つと認めた外国人労働者に、新たな資格「特定技能1号」を与えるとした。3年間の技能実習を終えるか、日本語と技能の試験の両方に合格すれば資格を得られる。在留期間は最長5年で、家族の帯同は認めない。技能実習生(在留期間最長5年)がこの資格を取得した場合、日本で 最長10年間働けるようになる。
(読売新聞 10月11日)

外国人技能実習生に事実上の永住を認めるのであれば、これはもう移民の解禁である。外国人労働者の在留期間延長措置を巡る議論で、政府は繰り返し「移民政策ではない」と強調してきたが、正面から移民政策を議論すべき状況になった。
外国人技能実習制度に対して、技能移転のための実習であって人手不足対策ではないというタテマエに固執したところで、受入先企業の動機は、あくまで人手不足対策である。このホンネに修正を求めることは、もはや不可能である。
在留期間の延長も、移民とのダブルスタンダードで運用されると、またしても矛盾が生じてトラブルが頻発するのではないか。およそ制度というものは、ホンネで運用される内容に設計しないと、たちまち形骸化してしまう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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