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日立、技能実習生さらに20人解雇へ 実習生側は提訴も

日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)のフィリピン人技能実習生20人が実習途中に解雇を通告された問題で、日立が10日にも別のフィリピン人実習生20人を解雇することが同社への取材で分かった。実習生側は雇用契約は3年間で不当解雇だと主張。残り期間の賃金が補償されなければ、日立を相手取り損害賠償を求めて訴訟を起こす方針だ。
10日にも解雇される20人は昨年8月に入国。日立によると、国の監督機関「外国人技能実習機構」から2年目以降の実習計画の認定を受けられず、10日に技能実習生としての在留期限を迎えるのが解雇の理由だという。日立はこの20人にも月給相当の十数万円の手当を支払う。
笠戸事業所は、実習生に目的の技能を学べない作業をさせている技能実習適正化法違反の疑いで7月に法務省や実習機構の実地検査を受けた。法務省関係者によると、国や機構は日立で適正な技能実習ができるのか検査中のため、新たな実習計画は認定できないと判断しているという。
(朝日新聞 10月10日)

この問題は日立製作所に技能実習生を紹介した監理団体も責任が問われるのではないか。監理団体の担当者は実習実施先に定期的に訪問して、技能実習計画書に記載された業務への就労かどうか、賃金や労働期間が遵守されているかどうかなどを書類や技能実習生との面談などによってチェックする。
だが、実地検査の精度は監理団体によってバラバラで、形式的な訪問では違法性を見抜けないことも多い。
不正行為が発覚すれば、外国人技能実習機構が実地検査のうえ、事業者名を公表して不正の程度に応じて3段階の処分を下す。①出入国・労働慣例法令違反があれば、期限を定めて改善を命令。②許可基準違反や法令違反に対し、期間を定めて業務停止を命令。③重大な認可・認定基準違反、法令違反等があれば取消し。
日立製作所への処分はどうなるのだろうか。処分内容が発表されないと、抑止効果は出ないだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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