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日立、技能実習生20人に解雇通告 国から認定得られず

ono20181011

日立製作所が、鉄道車両製造拠点の笠戸事業所(山口県下松市)で働くフィリピン人技能実習生20人に実習途中の解雇を通告したことが同社などへの取材で分かった。国の監督機関から実習計画の認定が得られず、技能実習生としての在留資格が更新されなかったため。実習生は今月20日までしか在留できず、帰国を迫られるが、個人加盟の労組に加入し、日立に解雇の撤回などを求めている。
実習生は監理団体「協同組合フレンドニッポン」(本部・広島市)が紹介し、日立が雇用した。労組や実習生によると、20人は全員20代で、昨年7月に3年間の実習のため入国した。今年9月20日付で在留資格が技能実習から30日間の短期滞在に変更され、日立から同日、解雇を通告された。「解雇予告手当」として月給相当の十数万円が実習生に支払われたという。
笠戸事業所では実習生に目的の技能が学べない作業をさせている疑いがあり、法務省や監督機関「外国人技能実習機構」が7月、技能実習適正化法違反の疑いで実地検査した。
(朝日新聞デジタル 10月5日)

技能移転なのか、人手不足対策なのか――外国人技能実習制度がタテマエとホンネがかい離されたまま運用された結果、このニュースのような事案が発生したのである。人手は足りているが、技能移転による国際貢献を果たしたいから実習生を受け入てる。そんな企業はどれだけあるだろうか。
日本経済新聞(10月4日付)によると、経済産業省は、中小企業の外国人労働者受け入れをサポートする目的で、外国人労働者の多く受け入れている自治体を中心に約30カ所に多言語対応の相談窓口を設けるという。
技能実習生の受け入れが進むにつれ、計画外業務も横行するのではないか。各職種に複数業務を与えている職場では、業務の区分けを必ずしも明確にできない。当初から実習計画書に記載されていない業務に従事させるのは違法行為だが、関連業務も指示すれば、いつしか計画外業務にウエイトが移ってしまう場合もあるかもしれない。
だが、計画外業務が横行すれば、実習計画書は骨抜きになってしまい、技能実習制度は見直しを迫られてくる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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