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パワハラ防止へ法整備 厚労省検討

厚生労働省はパワーハラスメント(パワハラ)の防止策づくりを企業に義務付ける法律を整備する検討に入った。相談窓口の設置や発生後の再発防止策を企業に求める。企業への罰
則は設けない方向だが、悪質な企業は公表し、抑止効果を高めることも検討する。パワハラの相談は年々増える。働き手の生産性や意欲の低下にもつながりかねず、法制度が必要だと
判断した。
パワハラは職務上の地位を乱用して部下らに苦痛を与える行為。被害者の救済は、民事裁判で加害者らへの慰謝料や損害賠償を請求する例が多い。裁判で被害を立証するハードルは高い。
(中略)
厚労省は被害者の事後的な救済だけでなく、被害を予防する必要性が高まっているとして防止策を企業に義務付ける。
(日本経済新聞 9月24日)

この記事の2日前に日本経済新聞に、愛知県春日井市消防本部が40代の男性消防司令や60代の男性消防士長ら4人を懲戒処分としたニュースが掲載された。
4人は昨年4月~今年3月にかけて20代の男性消防士3人に対し、一発芸をやらせたり、訓練で手順を間違えたら複数回夕食をおごらせたりしたほか、脇腹をつねる体罰を加えたという。さらに一発芸は動画撮影し、LINEに開設した部署グループに投稿させたという。
処分内容は消防司令が減給10分の1(6カ月)、消防士長ら2人が同(2カ月)で、管理監督責任者として1人が戒告だった。

厚生労働省が法整備を検討しているパワハラ防止策には、相談窓口設置の義務付けや悪質企業名の公表だけでは不十分である。相談窓口による揉み消しを防止する手段、あるいはパワハラ加害者の分基準のガイドラインも必要だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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