Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

社外取締役 女性伸び鈍化

女性の社外取締役の数が伸び悩んでいる。東京証券取引所1部上場企業(約2100社)に在任する女性社外取締役は651人と前年の552人から99人増えたものの、社外取締役全体に占める比率は11.6%と1ポイントの上昇にとどまった。企業統治(コーポレートガバナンス)改革で取締役会の多様性(ダイバーシティー)を求める動きが強まっているが、候補者の人材不足という壁にぶつかっている。
 ガバナンス助言会社のプロネッド(東京・港)が7月1日時点でまとめた。女性社外取締役は「ガバナンス改革元年」といわれた2015年に選任が本格化し、16年に10%の大台に乗った。その後は足踏みが続く。2000年代から女性起用が本格化した欧州企業は2~4割で日本は大きく離されている。(日本経済新聞 9月16日)

 上場企業の女性経営者や会社法に精通した女性弁護士は、社外取締役に引っ張りだこだった。女性社外取締役の伸びが鈍化したのは、女性を起用しようと考える企業はすでに起用し尽したからではないのか。あるいは一気に女性を起用する流れが進んだことで、即戦力として期待できる人材が枯渇してしまったのか。
 ただ、鈍化したとはいえ、女性社外取締役の起用が天井を打ったわけではないだろう。女性社外取締役の起用効果が明確になれば、ふたたび起用ペースが上向くはずである。 若い世代から人材も育つはずだ。 
やがて経団連会長や日本商工会議所会頭に女性が就任する時代が到来すれば、「女性」という冠をつけて役職者が語られる機会も消えていくに違いない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。