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丸刈り・高圧洗浄機で水…パワハラ訴えた元社員が勝訴

ono20180918

頭を丸刈りにされるなどし、その様子をブログに掲載されるパワハラを受けたなどとして、運送会社(福岡県宗像市)の元男性社員が、慰謝料や未払い賃金など計約1100万円と、労働基準法違反の雇用主を制裁する「付加金」の支払いを求めた訴訟の判決が14日、福岡地裁であった。岡田健裁判長は原告の訴えを認め、計約1500万円の支払いを命じた。
 訴えによると、男性は2012年3月ころから約2年間、トラックの長距離運転手として勤務。運送先から戻る途中に温泉に入ったことを理由に丸刈りにされたり、高圧洗浄機で体に水を噴射されたりした。川に入るよう命じられ、打ち上げ花火や石で狙われた。寮から逃げたが給与が振り込まれなかったため、所持金が底をついて戻ると、土下座させられた。これらの様子は会社のブログに掲載されたという。
 会社側は裁判で「頭が皮膚病だったので本人の希望で髪の毛を刈った。川に入るように命じていないし、土下座は自ら行った」などと反論していた。
(朝日新聞デジタル 9月14日)

 パワハラを撲滅するには研修を重ねても実効性を発揮しない。“パワハラ育ち”が幹部になれば、なかば本能的にパワハラで部下を追い詰めてしまうのだ。これは体質の問題だから、研修やマニュアルで改まるほど簡単ではない。
 スルガ銀行問題では、成果至上主義がパワハラの温床になったと指摘された。そのとおりだろうが、かりにパワハラの定義と罰則規定が明文化されていても、創業家がパワハラ役員を放置していたのだから、規定は無用の長物である
通常、社内に相談窓口を設けても、会社によっては揉み消しに走るうえに、告発社員は危険分子として人事上の不利益を受けかねない。守秘義務から通報者の氏名を伏せて会社と折衝してくれる弁護士事務所に、相談窓口にすればよいのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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