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スルガ銀「行員が偽装に積極的関与」、最高幹部がそろって退陣へ

シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズが経営破綻した問題で、物件所有者(オーナー)に対する融資に際し、スルガ銀行の複数の行員が審査書類の改ざんを認識していたと言われる。この他にも投資用の不動産関連融資での不正が相次ぎ指摘されるなか、真相究明を進めていた第三者委員会は9月7日、「行員の一部が偽装に積極的に関与していた」と認定する報告書をまとめた。
第三者委の委員長は中村直人弁護士。5月15日に発足し、スルガ銀行の幹部や融資担当職員らへのヒアリングや資料調査を進めていた。
報告書(要旨)は「偽装を黙認した融資業務を行うことに多くの営業職員が関与し、かつ、一部では営業職員自らが偽装に積極的に関与していたものと認められる」と指摘。また、「所属長(支店長)レベルでも、一部の偽装行為については、そもそも所属長が直接関与していたことが認められる」として、責任が現場担当者レベルにとどまらないことを示した。
スルガ銀行は9月7日開催の取締役会で、一連の問題を防げなかった責任を明確化するため、創業家出身の岡野光喜会長(73)をはじめ、同じく代表権をもつ米山明広社長(52)、白井稔彦専務(64)もそろって退任することを決めた。
(弁護士ドットコム 9月7日)

不祥事が発覚して記者会見を開くと、まずは担当者の責任であると発表して、組織ぐるみを否定し、組織防衛に入る。しかし関係者からのリークを含め報道が拡大するにつれ、経営幹部の関与が明らかになって、組織ぐるみの構図が輪郭を露わにする。
もはや経営トップや担当役員は逃げられない。第三者委員会を編成して判断を待つのだが、この時点で多くは退任に迫られることを覚悟している。そして退任に至るのだが、責任の取り方は退任だけではないだろう。
問題が収束するまで矢面に立ち、収束した時点で退任する方法もある。
たしかに現職をつづけることは地位への固執にも見えるが、矢面に立つことは生き恥をさらす行為でもある。退任して責任から解放されるよりも、退任を前提に生き恥をさらすほうが辛いのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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