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<医師の残業時間>特定の診療科や地域などで規制に特例も

医師の残業時間の上限規制を巡って、地域医療の確保と過労死防止との間で医療界は板挟みになっている。日本医師会の専門家会議も、特定の診療科や医師不足の地域などで規制を緩めるよう提言する一方、長時間労働是正を訴えている。
 救命救急など高度医療を担う特定機能病院85病院を対象に、毎日新聞が6月に行ったアンケート(有効回答は49病院)で、一般労働者と同じ上限規制を導入した場合、現在の診療体制を維持できるか尋ねたところ、約3割に当たる14病院が「維持できない」と答えた。救急など「診療科によっては維持できない」も3病院あった。
 西日本のある病院は、医師の働き方改革について「医療の質の劣化につながらないか。若い医師に勤務時間を守るよう指導すると、学ぶ意欲を低下させる可能性もある」と懸念を示した。首都圏のある病院も、望ましい上限について、一般労働者の上限(2~6カ月の平均で80時間)の倍近い150時間と答えている。
(毎日新聞 9月3日)

医師の長時間労働について、細井龍医師に尋ねたら、意外な実態を教えてくれた。
https://biz-journal.jp/2018/09/post_24621.html
「不思議なことに、医師は忙しいほうが稼げない仕事なのです。週5日常勤で働くよりも、週5日非常勤で働いたほうが、おそらく4~5倍の収入になると思います。子供のいる女性医師は医局に戻らないで、週3日保育園に子供を預けて非常勤で働いて、他の日は子供と一緒に過ごすスタイルで出産前と同じ額を稼げてしまいます。しかも非常勤のほうが責任は軽く、担当患者を持っていないので急変時に呼ばれることもなく、時間きっかりに帰れます」
非常勤医師はどれぐらい稼げるのか。細井医師によると「非常勤の報酬は時給1万円から1万2000~3000円が相場なので、1日8時間で週3日働けば週に24万円、月に96万円になります」。一方、常勤医師の収入は上場企業の管理職並みで、労働時間はブラック企業並みである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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