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「夢の国」着ぐるみの内側は?過労やパワハラ、社員訴え

東京ディズニーランド(千葉県浦安市)で着ぐるみに入ってショーなどに出演する女性社員2人が、運営会社の労務管理に問題があるとして裁判を起こした。
(中略)
「憧れの仕事なので、ずっと我慢してきました。でも耐えきれません」。7月19日に千葉地裁に提訴した原告の契約社員の女性(38)は、そう打ち明けた。
5年以上にわたり、上司からパワーハラスメントを受けていたと主張。安全に働ける職場環境をつくる義務を会社が果たしていないとして裁判に踏み切った。パワハラの背景に、過酷な労働環境によるゆとりの欠如があると訴えている。
訴状などによると、きっかけは2013年1月ごろ。着ぐるみのキャラクターに扮し、客にあいさつをして回る「グリーティング」業務の最中に、男性客に右手の薬指を無理やり曲げられ、けがをしたことだった。
労災申請をしようとすると、上司に「それくらい我慢しなきゃ」「君は心が弱い」と返された。役の変更を申し入れたが、「わがままには対応できない」と取り合ってもらえなかったという。ぜんそくの症状が出るとして楽屋の環境改善を相談したときにも、「病気なのか、それなら死んじまえ」「30歳以上のババァはいらねーんだよ」と突き放されたとしている。
(朝日新聞デジタル 9月1日)

パワハラを問われれば、多くが「そのつもりはなかった」と答える。パワハラの有無を判断するのは、受けた当事者もしくは第三者である。疑念をもたれた側が自己弁護に走ると、かえって形勢は不利になるので、事実だけを述べればよい。
事実認定と価値判断を混同すれば、ゴマカシに見えてしまうのだが、当事者は無罪を勝ち取りたいあまり、焦点をずらそうという心理が働く。東京ディズニーランドの場合はどうだろうか

SNSの発達で隠し事ができる時代は終わったが、加えて泣き寝入りの時代も終わった。会社が水面下で握り潰そうとしても、どこかで噴出するものだ。それでもパワハラが次から次へと発覚するのは、たぶん罰則規定が緩いからだろう。
ハラスメント行為はすべて人権問題に関わるのだから、罰則の厳格化が必要である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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