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“昇進はまっぴら”女性社員低モチベの元凶

日本総合研究所では、2015年3月に東京圏で暮らす25~44歳の女性約2000人(有効回答数1828人)に対する調査を、また2017年3月には追跡調査(有効回答数783人)を実施しました。
2017年の追跡調査の結果、就業している女性(546人)のうち、管理職への登用を希望しない人の数は471人で、実に86%以上に達しました。登用を希望しない理由を尋ねたところ(複数回答可)、「出世・昇進に対して関心がない」(48.4%)、「私生活(育児・介護含む)の時間を重視したい」(47.8%)、「長時間労働を前提とした働き方は望まない」(45.2%)が約半数程度を占めていました。労働時間の長さや家庭との両立が難しいことを理由に、管理職への登用を希望しない女性の姿がうかがえます。
(中略)
「ワーキングママとして仕事と家庭の両立がしやすいように、フレックス制や時間単位休暇の制度を導入して欲しい」(40代、SE職)
「打ち合わせや社内向けの報告書作成などの非効率な業務を減らして欲しい。今でも業務量が多いのに、昇進をすると、助けてくれる人もいない中で、『○○(役職)なんだからやってもらわないと困る』と上席者に言われるのが目に浮かび昇進へのモチベーションが下がる」(40代、事務職)
(プレジデントオンライン 8月6日)

大卒女子が一般職を選ぶケースはけっして少数派ではないという。結婚して出産してからは、総合職よりも負荷が低い一般職のほうが長く働き続けられると考えているからだ。
総合職で活躍できる人材が一般職を選ぶ傾向は、企業にとっては損失だろう。
「彼女たちは働くという意味でのモチベーションは高い。彼女たちは戦力として宝の山だと思います。しかし、多くの大卒女子は総合職と育児が両立するというモデルを知らず、一般職なら両立しやすいという感覚もあるのではないでしょうか。午後5時に帰れる職場をどんどんつくれば、彼女たちは総合職を選ぶようになると思います」(人事専門家)
しかも一般職の場合、長期のキャリアプランは立てにくい。

「一般職として長く働くというキャリアプランは存在するのでしょうか?通常、一般職のキャリアは30代で頭打ちになります。何十年働いても給料が上がらないというコースの選択は、はたして正しいのかという問題に直面するでしょう」(同)
滅私奉公型の就労環境を改善するには、働き方改革だけでは限界がある。経営幹部の世代交代を待つ以外にないないだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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