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育休1カ月分を「有休」に 積水ハウス、男性の取得促進

積水ハウスは9月から、通常は無給の育児休業の最初の1カ月を「有給休暇」にする。収入減を気にする男性社員にも、長期の育休取得を促す狙いだ。同社は男性社員に対し、少なくとも1カ月以上の育休を取得するよう呼びかける。
同社の育休は、子どもが3歳になるまでに最長3年間取得できる。今回の有給休暇はそのうち最初の1カ月に充てることができ、分割取得も認める。これまでは、給料が支払われるのは最初の4日分だけだった。
同社はこれまでも男女問わず育休取得を勧めており、2017年度には男性社員の取得率が9割以上になった。だが取得期間は、女性が平均479日なのに対し、男性はわずか2日にとどまっていた。
このため新たに「1カ月以上」という日数の目標を定める。男性社員や上司に、育休取得の計画づくりの研修を実施するなど、社内の支援制度を整える。(朝日新聞デジタル 7月27日)

家族主義経営は終身雇用の崩壊とともに消え失せようとしていたが、男性社員の育児休業取得が促進されるにつれ、家族を取り込んだ勤務体系や人事制度を設計しないと社員の定着が難しくなった。
勤め人の場合、1日24時間のうち、勤務時間、通勤時間、睡眠時間を除くと、プライベートタイムは4~5時間に過ぎないのではないか。先日取材した経営者は「会社員は物理的に会社に人生を捧げている計算になる」と話していたが、1日の時間配分を見れば確かに会社にそのとおりだ。
この現実を踏まえれば、人生を捧げてもらっている会社が、社員が育児や介護に仕事を離れても生計に困らないように配慮するのは当然の措置だろう。仕事を一時的に離れる場合、社員が不安にとらわれるのは在籍と収入の保障である。
積水ハウスにつづく企業は増えるのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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