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公務員と再就職先仲介 政府がサイト 天下りあっせん防ぐ

政府は国家公務員の再就職支援を拡充するための仕組みづくりに乗り出す。企業向けの人材紹介サイトを開設し内閣府の「官民人材交流センター」に相談員を配置して企業と再就職先を探す職員を仲介する。国家公務員OBらによる天下り先のあっせんを防ぐ狙いがある。内閣府が2019年度予算の概算要求で関連費用を計上する見通し。
国家公務員は同僚やOBによる再就職先のあっせんなどが禁じられているものの、水面下でのあっせんは絶えず、構造的な問題の根絶には国家公務員の再就職支援の仕組みを強化すべきだとの指摘があがっていた。
人材紹介サイトの運営は「官民人材交流センター」が担う。同センターは08年12月に発足。これまでは早期退職募集制度の利用者に限られており、再就職の希望者は同センターが委託する民間再就職支援会社を通じて自身で再就職先を探す手続きに数カ月かかる場合が多く、企業が積極的に利用しにくくかった。(日本経済新聞 7月22日)

天下りは地方公務員にも散見される。自治体の保健福祉担当者が社会福祉法人に天下る例では、特別養護老人ホームや小規模多機能型居宅介護の開設枠の取得などで自治体との折衝役で動いてもらおうという動機が雇用側にあるようだ。しかし、期待通りに動いてもらえるのかどうか。
厚生労働省の局長を理事で迎えた医療法人では、厚労省医政局との折衝で局長OBに動いてもらおうとしたら、即座に拒否してきたという。同法人の事務長によると、そのOBは「自分は厚労省との裏ルートの橋渡し役でない。折衝が必要なら正面玄関から入って折衝してほしい」と強弁してきた。
「公務員OBに実務能力は期待していません。出身官庁とのパイプに期待して高給で迎えたことは本人も認識しているはずなのに、これでは話になりません。そのOBには任期の2年で辞めてもらいました」
国家公務員の再就職先は所属省庁の所管外に限定すればよい。雇用側も省庁との裏ルート強化という動機をもたずにすむ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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