Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

「定年後も働きたい」8割 老後収入に不安

定年前の50~64歳の正社員のうち約8割の人が定年後も「働きたい」と希望していることが明治安田生活福祉研究所(東京・千代田)の調査で分かった。だが男女とも2割前後
「働きたいが働けない状況」と答えていた。働きたい理由としては「日々の生計維持のため」がトップで50代男女では約7割を占めた。「働きたくない」は男女とも約2割だった。
同研究所は「子供の進学費や住宅ローンがかさむ中、老後の収入を不安視する人が多いのでは」と指摘している。
調査は今年2月にインターネット上で50~69歳の男女6250人を対象に実施。年齢層や現在の職の有無を区分して、定年後の働き方に関する意識を調べた。(中略)
60歳以上の人を雇用する上で企業に最も必要な取り組みを定年後に働く60代男性に聞いたところ、最も多かったのは「(同一企業やグループでの)継続雇用者への処遇改善」で60~64歳では59.7%、65~69歳で48.1%だった。(日本経済新聞 7月17日)

55歳の知人は「住宅ローンの返済が終わるのは70歳だから、何とか70歳まではフルタイムで働かなければならない。自分が65歳になる頃には年金はもうアテにできなくなっているだろうから、老後に好きなことをやるというような夢は幻想になった」と話していた。
40代までは第二の人生を夢想できても、50歳がすぎて60歳に近づけば近づくほど、老後の生活設計の不安が脳裏をよぎってきて、現役の延長を考えるようになるのだ。
やがて生涯現役志向に行き着くが、この流れは公的年金の支給年齢引き上げの地ならしにもなる。国にとっては好都合だ。現役の継続を促す情報操作も繰り返して、シルバー世代の間に悠々自適をマイナス視するムードが醸し出されれば、同じ会社に3世代が在籍するケースも出てくるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。