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三菱自の技能実習生24人帰国へ 目的外の作業に従事

ono20180711

三菱自動車岡崎製作所(愛知県岡崎市)がフィリピン人技能実習生に実習計画外の仕事をさせていた問題で、三菱自は3日、実習生24人が途中で実習をやめ、週内に帰国すると明らかにした。本来の実習期間である来年2月まで働いたと見なし、基準給与相当分を補償したという。総額は明らかにしていない。
三菱自によると、途中帰国する24人は「溶接」技能を学ぶ目的で2016年2月に入国した。だが、このうち20人は溶接作業がない職場に配属され、車の組み立て作業などをさせていた。残りの4人は溶接ができる職場だが、「同じ時期の入国で連帯意識が強い」といい、一緒に帰国してもらうことにした。
三菱自には他に、溶接技能の習得を目的とする実習生が13人おり、溶接が学べない職場にいるが、溶接作業のある他の企業へ移籍させるという。これで、三菱自にいる65人のうち、残るのは主に「塗装」技能を学ぶ28人になった
(朝日新聞 7月3日)

外国人技能実習制度の趣旨は「日本で習得した技能の母国への移転」である。人材不足の解消ではない。受け入れ先は「実習実施者」と呼ばれ、就労は実習であり就職ではない。しかし、多くの実習実施者に、技能移転による国際貢献を視野に入れる余裕はない。あくまで人材不足対策として実習生を受け入れている。

このギャップが実習計画外の仕事に従事させるという事態を引き起こしている。実習という感覚がないから、実習計画に関係なく、人手のかかる仕事を指示してしまうのだ。三菱自動車のような問題は今後も頻発するだろう。

かり制度の趣旨を堅持するために、人材不足でない会社に絞って実習生の受け入れを認めたらどうなるだろうか。受け入れニーズは消失して、制度が忘れ去られてしまう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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