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日産でも技能実習不正 45人に計画外作業

20180615

日産自動車が外国人技能実習生45人に国へ届け出た計画と異なる作業をさせていたことが6日、分かった。同社によると、技能実習に必要な時間に満たない作業しかしていない実習生も約150人いる可能性があるという。同社は技能実習適正化法違反の疑いがあるとして、同日中に国の監督機関「外国人技能実習機構」(東京・港)に報告する予定。
5月には三菱自動車でフィリピン人の技能実習生に実習計画に該当しない仕事をさせていたことが判明している。

日産によると、45人はインドネシア人が41人、フィリピン人が4人で、横浜工場(横浜市)と追浜工場(神奈川県)で計画外の作業をしていた。車のバンパーを作る「プラスチック成形」の技能を学ぶ実習生にバンパーの塗装をさせていた事例などがあった。同日までに作業内容を是正した。

栃木工場(栃木県)やいわき工場(福島県)など4カ所の生産拠点でも計約150人の実習生が、技能実習をするために国が規定している作業を十分にせず実習をしていた可能性が高いという。
日産は「制度について現場が十分理解していなかったとみられる。今後、コンプライアンス(法令順守)の徹底に努める」と話している。
(日本経済新聞 6月6日)

骨太の方針に外国人技能実習生の受け入れ拡大が盛り込まれるというニュースと歩調を合わせるように、技能実習適正化法違反に関するニュースも出はじめた。あらためて制度運用の健全化を図る目的で摘発されているのかどうか。
真意はわからないが、法令遵守を徹底させるには、違反事例を発表して罰則を適用する手段が効果的だ。技能実習生の受け入れ先の多くは、技能移転による国際貢献に取り組む余裕などない。人手不足対策に必死なのである。
受け入れ先にとって実習生の就労は“実習”でなく、あくまで”労働“という感覚なのだが、労働であるだけに実習計画に含まれていない作業も命じてしまうのだ。配属先の職場で制度のもつ制約について周知徹底させても、ついつい実習計画外の作業も指示して、なし崩しになってしまうのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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