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老舗廃業 後継者難で最多

創業100年を超える老舗企業が苦境に立たされている。2017年度に倒産、あるいは休廃業した企業数は過去最多に上った。背景には業績悪化だけでなく、後継者不足による「黒字廃業」の例もある。老舗企業は雇用だけでなく文化的側面でも地域で果たす役割は大きい。老舗を含めた中小企業の事業を存続させようと、金融機関や企業の動きが活発になってきた。
(中略)
ここにきて老舗企業の廃業が相次ぐ背景にあるのが経営者の高齢化と後継者不足だ。中小企業庁の調べでは、25年までの10年間で70歳を超える中小経営者は約245万人に上る。その半数で後継者が未定だった。 廃業予定の中小約2千社が回答した調査によると、3割が「他社に比べて業績が良い」と答えた。
(日本経済新聞 5月28日)

 後継者難の大きな理由は経営者が早期に手を打たなかったことである。経営者が経営以上に楽しめることを見つけられれば引退できるが、そんな経営者は滅多にいない。だから、がんばりすぎてしまうのである。
 帝国データバックの調査によると、中小企業経営者の平均年齢の分布は1995年に45~49歳が最も多かったが、2015年に最も多い年齢幅は65~69歳に上昇した。経営者の高齢化について中小企業庁は、次の見解を述べている。
「経営者年齢が上がるほど、投資意欲の低下やリスク回避性向が高まる。経営者が交代した企業や若年の経営者の方が、利益率や売上高を向上させており、計画的な承継は成長の観点からも重要」
 国が生涯現役政策を推進しようとしても、経営者の能力には年齢の壁があるのだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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