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社長の報酬 日米の格差が鮮明

ono20180522

米上場企業が新しい経営指標の開示を始めている。その名も「ペイ・レシオ」。経営トップの報酬(ペイ)が自社の平均的な従業員の何倍かの比率(レシオ)を表す。社内のタテ格差監視のための措置だが、給与水準が白日の下となり、ライバルや異業種間のヨコ格差まで鮮明になった。課題をはらみつつもダイナミズムを感じさせる米報酬体系に比べ、依然ヨコ並びの日本勢。世界の人材獲得戦で劣勢に甘んじかねない。
「フェイスブック(FB)37倍」「AT&T366倍」「マクドナルド3101倍」…。米企業が決算後に続々、自社の「倍率」を発表している。2010年制定の金融規制改革法による公表が今年から始まったのだ。
(中略)
対する日本企業はどうだろうか。従業員給与の中央値は分からないので、有価証券報告書に記載された「日本版・ペイレシオ」を算出してみた。
倍率はおおむね2ケタ台と、業種を問わず米国より低め。単純比較はできないが、トップと現場との格差が小さいフラットな組織といえる。(日本経済新聞 5月13日)

 この記事によると、米国企業のペイ・レシオは、アマゾン59倍、フェイスブック37倍、GE157倍、AT&T366倍、GM295倍、JPモルガン・チェース364倍、ファイザー313倍。一方、日本企業は、ソニー100倍、日立25倍、ソフトバンクグループ12倍、トヨタ38倍、三菱UFJフィナンシャルグループ14倍、武田103倍、ファーストリテイリング30倍。

 日米どちらの経営トップの報酬が適正なのかに正解はない。報酬は上げ出したら独り歩きして、とめどがなくなる。これは金の魔力のようなもので、人知で制御できるほどヤワではない。だから、高額な報酬に惹かれて数社を渡り歩くプロ経営者が、必ずしも金の亡者とは限らない。

 それにしても米国企業CEOの報酬は高額だ。マクドナルドのCEOは2176万ドル(約23億7000万円)と中小企業の年商並みである。何に使うのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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