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3月の現金給与、2.1%増=好業績で14年9カ月ぶりの伸び

厚生労働省が9日発表した3月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、基本給に残業代やボーナスなどを合わせた現金給与総額は前年同月比2.1%増の28万4464円となった。8カ月連続のプラスで、2003年6月以来14年9カ月ぶりの大幅な伸び。賃上げの流れが続く中、好業績で一時金を支給する企業が増えたとみられる。
現金給与から物価変動の影響を差し引いて算出する実質賃金は、0.8%増と4カ月ぶりのプラス。同月は消費者物価指数が1.3%上昇したが、賃金の伸びがこれを上回った。(時事通信 5月9日)

一般に賃金が勤労意欲に顕著に反応しやすい年代は、中堅・ベテランよりも若手である。中堅・ベテラン層は教育費や住宅費などの負荷を背負っているが、限られた原資を振り分けるには、若手に手厚くする措置を受け入れるだけのフトコロが養われている。

日本経済新聞(5月11日付)によると、金型設計の南雲製作所(新潟県上越市)は、今春に社員100人の基本給を月額平均2000円賃上げしたが、若手への配分を多くして、20代社員には月4000円の賃上げ例もあったという。米枡弘社長が「『会社を支えるベテランには申し訳ない』と思いながらも、今は若手への配分が必要」(日本経済新聞)と判断したのである。

大手企業の賃上げラッシュに追随して、中小企業が無理な賃上げをつづければ人件費倒産を引き起こしかねない。原資をどう配分するのか。南雲製作所のようにメリハリに腐心している中小企業は多いのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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