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外国人実習生 現場の戦力に

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昨秋の技能実習制度の新法施行を受け、介護など人手不足業種で海外人材を育成・活用する動きが広がっている。新たに対象に加わった介護では大手のソラストやツクイが10~15人を受け入れる。自動車整備や小売り大手も受け入れを拡大する。技能実習制度は事実上、人手不足の解消に一役買っているが、新興国への技術移転という本来の目的との乖離(かいり)も目立ちつつある。
2017年11月施行の外国人技能実習適正実施法は対象職種に介護を加えた。また、優良な受け入れ先は実習期間を最長3年から5年に延ばせるようにした。
ソラストはベトナム人15人を受け入れる。現地で日本語研修を実施し、来日後にも1カ月の座学や実技研修を手がける。5月からグループホームや有料老人ホームに配置する予定だ。
(日本経済新聞 3月19日)

労働力不足で存亡の危機すら覚悟せざる得ない介護事業者は、外国人技能実習制度の趣旨を”技能移転による国際貢献”と示されても、リアルに受け止められない。余力のある有力事業者は、日本式介護の海外展開を視野に入れているが、多くの介護現場は国際貢献どころではないのだ。
当然、法務省も厚生労働省も制度設計者である以上、介護現場の実態を把握していても、制度の趣旨を貫かざるを得ない。だが、官僚はOBになればホンネに言及できる。元外務事務次官の藪中三十二氏はこう指摘している。

「技能実習生は技能を実習させる海外協力をタテマエとしながら、ホンネは単純労働力として使っている」「経済連携協定の際、先方から要請のあった介護人材の受け入れは、(中略)介護の実態とは合致しない制度設計になってしまった」「ホンネでの受け入れを進めるべきではないか」(2017年12月21日付、日本経済新聞)。
タテマエとホンネがここまでかい離していると、制度が真っ当に機能しなくなるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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