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過労死遺族に「週休7日が幸せ?」ワタミ渡辺氏が謝罪

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過労死遺族に配慮のない発言を国会でしたとして、東京過労死を考える家族の会が16日、大手居酒屋チェーン、ワタミグループの創業者で、自民党参院議員の渡辺美樹氏と面会し、発言の撤回と謝罪を求めた。渡辺氏は家族の会の代表らに謝罪した。
問題の発言があったのは、家族の会の中原のり子代表が公述人として出席した13日の参院予算委員会の中央公聴会。中原氏は夫を過労自殺で亡くした経験に触れ、労働時間の規制を強化して過労死を防ぐべきだと約15分にわたり訴えた。
ワタミグループでは2008年6月、居酒屋で働いていた新入社員が過労自殺し、12年に労災認定されている。渡辺氏は中原氏への質問の中で、「私も10年前に愛する社員を亡くしている経営者。過労死のない社会を何としても実現したい」としたうえで、「国会の議論を聞いていますと、働くことが悪いことであるかのような議論に聞こえてきます。お話を聞いていますと、週休7日が人間にとって幸せなのかと聞こえてきます」と発言した。
(朝日新聞デジタル 3月16日)

働き方改革が政権の課題になった直接のキッカケは電通社員の過労死だが、それ以前にブラック企業問題が深刻化し、ワタミグループの過酷な就労実態も次々に明らかにされていった。同社はブラック企業アナリストの新田龍氏に助言を求めるほど追い詰められていた。
社長時代の渡辺氏にどんな意図があったのかはともかく、ブラック企業問題を引き起こした関係者には違いないのだから、議員に転じて以降も色眼鏡で見られがちだ。長時間労働問題に言及するときには、慎重な発言に徹しているのだろうが、それでも経営者としての本心が発言のどこかに反映されてしまう。

今回は夫を過労死で亡くした中原のり子氏に謝罪したからよいが、“議員の失言はホンネ”ともいわれる。渡辺氏は色眼鏡で見られがちなのだから、長時間労働問題に関する発言は控えたほうがよいのではないか。渡辺氏を起用した自民党も思慮が不足していた。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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