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大手、ベア前年超え広がる=賃上げ率、3%未満が大勢-18年春闘

2018年春闘は14日、自動車や電機など大手企業が労働組合の要求に一斉に答える集中回答日を迎えた。各社は堅調な業績を背景に、基本給を底上げするベースアップ(ベア)を5年連続で実施すると回答、上げ幅は前年超えが相次いだ。政府による賃上げ要請を経営側が強く意識した結果だが、月収ベースの賃上げ率は2%前後が大勢で、安倍晋三首相が掲げた「3%以上」に達した企業は少数にとどまった。
ベアと定期昇給を合わせた月収ベースの賃上げ率をみると、三菱重工業が3%台に乗せた。一方、日立製作所は2.3%、JFEスチールが1.8%で、月3000円のベアを満額回答した日産自動車も2.4%だった。トヨタ自動車は手当などを含め全組合員で3.3%の賃上げを行う。
(時事通信 3月14日)

残業手当が正当に支給されるという前提に立てば、会社員にとって残業抑制は必ずしも好ましくはない。残業手当を生活給としてアテにする慣行が長らくつづいてきたため、長時間労働の是正は望みたいが、残業手当が減れば生活設計にも響いてしまう。

残業手当をアテにしなくても済む水準に基本給を上げないと、カードローンに手を出す人も増えかねない。銀行カードローンの貸付残高は2016年に5兆6024億円で、4年前に比べて5割近く増え、比例するように自己破産者も増加傾向にある。
銀行カードローンの利用動機は生活費の調達が多いという。銀行という安心感から、つい借りてしまうのだが、年利10%超の高利である。真っ当な生活をしたいのならカードローンに手を出すのは禁じ手と心得るのが妥当だ。

そもそも残業手当を前提とした給与体系は、残業を前提とした業務量に由来する。残業時間はゼロが理想だが、業務量から現実はそうはいかない。生産性向上を試みても、取引相手の都合にマッチしなければ机上にとどまってしまう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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