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今年の就活生は“超ホワイト志向”

大企業の賃上げムードを受け、「給与・待遇」を重視する学生が増加。ディスコが毎年行う調査では、就職活動の企業選び(複数回答)において「給与・待遇が良い」ことを軸とする学生は、19.7%(13年卒)から44.2%(19年卒)と大幅アップしている。武井さん(注・人材サービス・ディスコの武井房子キャリタスリサーチ上席研究員)によると、「MARCH以上の学歴の生徒からは、『40歳で年収1000万円の企業が前提』という声もよく聞きます」とのこと。

他にも、今年の就活生のこだわりでは「地域」「残業」「仕事内容」の3つがキーワードになっている。まずは、転勤族になりたくないという学生が増えている。そのため勤務先が一部地域に限定されているエリア総合職や、都市部に集中しているIT企業の人気が高まっている。
 次に、電通社員の過労死事件や働き方改革の認知向上を背景に、「残業」を気に掛ける学生も増えているという。武井さんは「『サビ残(サービス残業)はイヤ』『残業は月40時間までなら』など、残業については具体的な声が届いています。働きやすさを意識する学生は増えています」と話す。また、「仕事内容」についても、営業職は避けたいなどの声が聞かれるという。
(SankeiBiz 3月2日)

これは若者の平均的な志向性なのかどうか不明だが、企業文化が転職の動機になるケースが少なくないらしい。長時間労働を美徳と評価する文化は論外だが、それ以外に体育会系文化への忌避が転職の動機になっているのだという。
上司先輩への絶対的な服従、行動様式の一律性や同質性、怒声体質などが嫌なのだ。上司先輩への服従には飲み会への参加も含まれ、たとえ自費負担がなくとも、酒席で説教や成功談を聞かされることは苦痛でしかない。部下にとっては、カラミ酒に付き合わされているのである。
こうした文化を嫌がる若手社員には、体育会系文化がブラック企業の温床に見えるのではないか。ダイバーシティや働き方改革など流行り言葉を喧伝する以前に、若手社員が適応できる文化の形成にも取り組まないと徐々に競争力が衰えてゆく。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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