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子育て社員の「同僚」に月3000円 アパレル店で“気持ち”を手当に

子育てをしながら働くのは大変だ。勤務時間を制限せざるを得ず、職場によっては他の人に代わりを頼むことが必要になる。仕事の調整がお互いに負担になることもあり、どのような立場でも、もやもやした気持ちを抱えている人は多いだろう。
 
その「もやもや」を少しでも軽減しようとする取り組みを、百貨店などにブランドショップを展開するアパレル大手のレナウンが3月1日から始める。アパレルショップの店頭において、短時間勤務などで働く育児中の販売員の“同僚”に対して、月3000円の手当を支給する制度だ。
 
会社から手当が出れば、仕事を頼む方も頼まれる方も働きやすくなりそうだ。なぜこのような手当支給を決めたのか。レナウンの広報担当者に聞いた。
 
名称は「ほほえみサポーター手当」。育児休業から復帰した販売員が短時間勤務などで働いていて、その店舗にアルバイトなどの補充がない場合に、他の販売員に支給される。短時間勤務(1日6時間)のほか、「早番のみ」などシフトの固定、土日の休日取得優先などの働き方をしている販売員がいる店舗が対象となる。その販売員の子どもが小学校を卒業するまで支給される。
(IT mediaビジネス 2月20日)

子供を保育園に迎えに行くために仕事を早めに切り上げることに、制度上は何の遠慮も要らなくとも、仕事をサポートしてもらう同僚に申し訳なさを感じてしまうのが例のようだ。困ったときにはお互い様なのだが、そういう気分にはなれない。

短時間勤務制が運用されていても、日本の企業風土ではまだまだビジネスライクには割り切れず、この感情が高ずると退職に至ってしまう。
レナウンが子育て社員の同僚に月3000円支給するのは、お互い様文化を浸透させる有効な手段だ。手当以外の手段もあるのだろうが、手当ならわかりやすい。
 
介護離職の理由も、変則的な勤務時間を認めてもらうことへの引け目が多いという。勤務形態の多様性を担保するのは、日本の場合、お互い様文化の醸成だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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