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杏林大病院に是正勧告 医師の2%「過労死ライン」超え

東京都三鷹市の杏林大学医学部付属病院が、労使間の時間外労働の取り決め(36協定)を超えて医師に残業させ、残業した時の割増賃金も不十分だったとして、設置者の杏林学園が三鷹労働基準監督署から是正勧告と改善指導を受けていたことが分かった。杏林大は「勧告を真摯(しんし)に受け止める」としており、働き方の見直しに着手。医師数百人に不足分の賃金数億円を支払ったとしている。
 
杏林大などによると、勧告と指導は昨年10月26日付。杏林大は就業規則と協定で、医師について週39時間の所定労働時間、月最大70時間の残業時間を定めているが、労基署の調査では約700人の医師のうち約2%が「過労死ライン」とされる残業80時間を超え、100時間を超える医師も数人いたという。
(朝日新聞デジタル 1月20日)

病院勤務医師の長時間労働是正の動きが加速して、連日のように是正勧告のニュースがつづいている。読売新聞は、1月23日付で日赤和歌山医療センター(和歌山市)が受けた是正勧告を報じた。同センターは、36協定の上限を最長50時間超えて医師を働かせ、一部の時間外手当が未払いだったという理由で、昨年8月に、和歌山労働基準監督署から是正勧告を受けていたという。

読売新聞によると「同センターは、医師との間に、特段の事情がある場合は最長月100時間の残業を可能とする協定を締結。しかし、2016年11月~17年4月、常勤医約200人のうち毎月10~20人の残業時間が上限を超え、最大で月150時間に達していたほか、宿直担当医師の時間外手当も未払いだった」。まだ是正勧告を受けていない病院も覚悟しているのだろうが、労働基準法の遵守と医療現場の運営をどう調整するのか。道筋は見えていない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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