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銀行員の転職希望急増、収益悪化でリストラ不安

転職活動する銀行員が急増している。

人材サービス大手リクルートキャリアに転職希望者として新たに登録した銀行員数は、2017年度上期(4~9月)に前年同期比で約3割増加し、その後も増え続ける勢いだ。超低金利に伴う銀行の収益悪化などで、人員削減への不安が高まっていることが背景にあるとみられる。
 
同社の集計によると、大手行と信託銀行、地方銀行などからの登録者数は16年度上期に前年同期比29.9%増加、17年度上期もさらに同29%増えた。昨年秋以降、メガバンク各行が大規模な人員削減策を公表すると、「将来のリストラ不安から転職希望者が殺到するようになった」(転職紹介大手)という。
 
リクルート社が提供する転職紹介サービス「リクルートエージェント」には、16年度で全業界から約50万人が登録しており、銀行からも多い。ただ、銀行からの具体的な登録者数は公表していない。政府の労働力調査によると、16年の転職者数は306万人で前年より3%弱増えた。銀行員の転職希望者の増加率は、それを大幅に上回る水準だ。
(読売新聞 1月15日)

昔から銀行に就職する学生は学歴エリートである。ありていにいえば優秀だ。事実上の定年が50歳の職場でも、優秀な学生が、ステイタスと給与水準に惹かれて就職する時代が何十年もつづいていた。
 
そんな時代が一服して、銀行は人余り業種に転換する。紆余曲折を経ながらも仮想通貨が普及すれば、銀行の商機は縮小していく。就職人気にも陰りを見せるだろう。

これだけ人材不足がつづき、多くの業界で外国人労働者の雇用が必須となったなかで、銀行の人余りは何ともいびつな現象だ。

転職先はいくらでもあるだろうが、結構な給与ダウンを覚悟しなければならない。応募先の給与水準が低いのではなく、いままでが高かったと考えればよいのだが、しかし、この切り替えはなかなか難しい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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