Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

診療・介護 報酬改定 官邸・自民、業界に配慮

加藤勝信厚生労働相と麻生太郎財務相は18日、2018年度の診療、介護、障害福祉サービスの3報酬改定率について最終合意した。診療報酬のうち医師らの技術料や人件費に当たる「本体部分」はプラス0.55%、薬価はマイナス1.74%で、全体はマイナス1.19%。介護報酬は0.54%、障害福祉サービスは0.47%引き上げることが決まった。

(中略)
 
医療や介護サービスの値段である診療・介護報酬を引き上げれば税や保険料負担が増える。加藤氏は、麻生氏との会談後の記者会見でこの点を問われ、「少子高齢化が進む中での(医療や介護サービスなどの)ニーズに対応する一方、個人の負担がどうなるか。多面的にみながら議論しなければならない」と述べ、負担増とサービスとのバランスに配慮したことを強調した。だが、実情は「業界への配慮」が強く浮かぶ。
 
12日深夜、麻生氏が電話をかけていた。相手は日本医師会の横倉義武会長。「これ以上、時間をかけても一緒だ」。「本体0.55%上げ」をのむよう迫った。麻生氏が昼過ぎから安倍晋三首相らも巻き込んで調整した最終結果を、横倉氏も受け入れた。財務、厚労両省の事務レベルでは詰めの調整が残る中、麻生氏自ら動いて政治決着を図った。
(毎日新聞 12月19日)

薬価引き下げで社会保障費の自然増1300億円抑制の達成が想定されていたので、診療報酬のプラス改定は、賛否はともかく、既定の路線に沿った結論である。やや意外だったのは介護報酬のプラス改定だ。

介護報酬は今年4月、人材確保を理由に、特例措置で1.14%引き上げられた。財源が確保されていないなかでの措置だけに、2018年度のプラス改定の前倒し措置とも見られていたが、0.54%のプラス改定に決着した。

介護業界にとっては朗報ではないか。
 
だが、現場ではそうでもないようだ。プラス改定という表現には一定のインパクトをともなうが、都内の社会福祉法人事務長は「0.54%は微増にすぎず、経営に寄与する水準ではありません」と話す。この事務長によると、改定内容は事業者には一層厳しくなる見通しだという。
 
「基本報酬が多少アップしても、加算の算定要件は厳しくなるでしょうし、人件費を相当アップしないと人材を確保できません。プラス改定でホッとしている介護事業者はいないのではないでしょうか」(事務長)

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。