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会社員の副業・兼業を容認 経団連が方針転換

経団連が働き方改革推進の一環として、これまで反対してきた従業員の副業・兼業に関し、容認に向けた検討を各社に促す方針へ転換することが17日、分かった。政府が副業・兼業を認める方向で制度改正を進めていることに対応する。来年初めにも経団連として方針を決め、会員企業に示す。
 
2015年2月発表の政府調査では、副業・兼業を認めている企業は約15%どまり。最近の民間調査では中堅企業の約33%が副業・兼業を認めているという結果もあるが、大企業は取り組みが遅れている。経団連の方針転換で大企業にも容認の動きが広がりそうだ。
 
経団連はこれまで従業員の副業・兼業について、社会保険料や雇用保険料の負担、労働時間の管理など整理すべき課題が多いとして認めない立場だった。榊原定征会長も長時間労働の是正を重視していることなどを理由に、「今のところ旗を振って推進する立場ではない」と発言してきた。
(SankeiBiz  12月18日)

 
副業の容認が普及すると、どうなるのか。副業で本業並みの収入を安定的に確保できる人には、たとえ失業しても生計を維持できる。転勤や理不尽な人事異動に忍従する必要もなく、会社との関係を台頭に保てるようになるだろう。自営業者に近い。

そんな社員が増えることは、会社にとってけっして不都合にはなるまい。会社員の収入源が増えれば、解雇要件が緩和に向かい、弾力的な雇用が可能になる。解雇というよりも、雇用契約を更新しないという手続きが取られるようになるのかもしれない。

同時に定年制も廃止されるか、75~80歳に延長されれば、高齢者という概念も変化していく。生涯現役社会の到来は、一般論としては望ましいのだろうが、悠々自適を志向する人にとっては押し付けられるようで、順応したくないのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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