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<福井・池田町>職員同士結婚はどちらか退職の慣例

福井県池田町で、町役場の一般職員同士が結婚した場合、町が夫婦どちらかに退職を求める慣例のあることが12日、分かった。町議会の一般質問で町が明らかにした。20~30年前に始まり、少なくとも女性2人が退職。専門家は憲法違反の可能性を指摘している。
 
町は採用した職員に、服務規定の順守などを定めた誓約書への署名を求めているが、その際、人事担当者が慣例を伝えている。町の担当者は取材に「夫婦を同じ職場に置かないよう配慮したいが、役場が小規模で余裕がない」と説明する。町の一般職員数は現在77人だ。
 
始まった経緯は不明だが、ある職員は「勤め先の選択肢が限られる町内で、夫婦とも役場勤めだと、周囲から妬まれる事情もあったようだ」と明かす。退職の強制はないが、町の関係者によると、慣例で退職した元職員の女性は「辞めなければならない雰囲気があった」と話している。

溝口淳副町長は「小さな自治体の事情で行われている」と理解を求めた。

脇田滋・龍谷大名誉教授(労働法)は「慣例とはいえ職場内での自由な結婚を妨げており、結婚の自由を保障した憲法24条に抵触する可能性がある」と指摘する。
(毎日新聞 12月13日)

 
女性総合職が導入されてもなお、職場結婚をした場合、女性は退職するという“暗黙の就業規則”が適用されていた企業は少なくないが、行政機関では昔から夫婦で定年まで勤務する例が珍しくなかった。

夫婦合わせて結構な額の報酬を得ていることは、住民も了解しているが、妬みの対象になるのなら、妬む側に非がある。

「小さな自治体の事情」があるのなら、職員夫婦を理不尽な目から守ってあげればよい。妬みを理由に退職を促すことは、妬みを是としかねない。このニュースが池田町の町民に周知されてもなお、住民は役場勤めの夫婦を妬むのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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