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「東建」のパワハラ認定…167万円賠償命令

賃貸住宅建設・仲介大手「東建コーポレーション」(本社・名古屋市)の元社員の40歳代の男性が、上司のパワハラでうつ病になり、退職を余儀なくされたとして、当時の上司と同社に計約752万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が5日、名古屋地裁であった。
 
野村武範裁判官は、元社員へのパワハラがあったと認め、上司と同社に計約167万円の支払いを命じた。
 
判決によると、元社員は2012年10月に入社し、兵庫県宝塚市の支店に勤務。40歳代の上司から13年12月頃以降、担当を突然はずされたり、「お前みたいながんウイルスがいると雰囲気が悪くなる」と言われたりするなどのパワハラを受けてうつ病になり、14年10月に退職した。その後、労災認定を受けた。
 
上司は、発言は叱咤(しった)激励の趣旨だったなどと反論したが、野村裁判官は「教育指導の範囲を逸脱し、過大な心理的負担を与えた」などとしてパワハラと認定。また、相談窓口開設などの同社のパワハラ対策は必ずしも効果があったとは言えず、上司の選任や監督に対する注意が不十分だったとして、同社には使用者責任があるとした。
(読売新聞 12月6日)

パワハラに対して会社側と加害者は決まって「行き過ぎた指導」と釈明するが、そもそも指導は善意に基づく行為である。パワハラは指導とは違い、たんなる悪質な行為にすぎない。

社内の対応は相談窓口の設置や研修では不十分だ。会社によっては、加害者が経営幹部など傷をつけると会社の体裁に響く場合、相談窓口が上層部を忖度して、揉み消しに走るケースもある。社員にとっては、必ずしも頼りにできる窓口とは限らない。

この現状を踏まえて、就業規則にセクハラ、マタハラも含めてハラスメントは「行き過ぎた行為」と認定されず、「犯罪」として損害賠償請求の対象になり、人事上の処分も課されることを明記すればよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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