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求人倍率、1.55倍に上昇=43年9カ月ぶり高水準―10月

厚生労働省が1日発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.03ポイント上昇の1.55倍となり、4カ月ぶりに上昇した。1974年1月以来、43年9カ月ぶりの高水準。景気のゆるやかな回復を背景に、製造業を中心に幅広い産業で求人が増えたことが寄与した。
 
総務省が同日発表した労働力調査によると、10月の完全失業率(同)は2.8%で、5カ月連続で同水準だった。同省は「雇用情勢は着実に改善している」(労働力人口統計室)とみている。
 
求人倍率は、ハローワークに申し込んだ求職者1人当たりの求人数。9月まで3カ月連続で1.52倍の横ばいが続いていた。10月は求人数が1%増、求職者は0.5%減だった。業種別の新規求人数は、自動車や住宅関連を中心とする製造業に加え、人手不足が続く医療、福祉で大幅に増加した。
(時事通信 12月1日) 

これだけ人手不足が続けば、定年延長や女性活用だけではカバーできず、外国人労働者の大量活用に活路を見出す以外にない。AIの導入は生産性向上には役立つが、人手不足対策への効果はまだ不透明だ。
 
外国人労働者活用の道を開いた外国人技能実習制度の施行は1993年。今年11月に改正法が施行され、在留期間が3年から最長5年に延期された。在留人数は昨年末時点で約23万人で、今後も増加傾向を辿るだろう。
 
技能実習生の受入れ企業の多くは零細規模の企業である。従業員10人未満が50.1%、10~19人が16.0%。最も多い従業員数の区分である300以上になると、わずか2.7%にすぎない。

この制度が、国連やILO(国際労働機関)から人身売買と見なされるほど労務トラブルを頻発させてきたのは、就労環境が整備されていない企業規模にも関係がある。働き方改革が届かない規模の企業に日本の若者は目を向けなければ、外国人技能実習生を雇用する以外にない。これからも労務トラブルがつづくのか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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